日々映画とドラマな週末

映画とドラマづけな日々の備忘録

事件はなぜ起きたのか?実話映画「葛城事件」

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出典 映画「葛城事件」公式サイト

私には、一定周期で「実話を基にした映画」を

無性に観たくなると言う習性があります。

理由はイマイチ不明ですが

最近も衝動にかられ、Amazonプライムビデオのレビューから

探し当てたのが「葛城事件」でした。

 

「葛城事件」は2016年に公開された「池田小事件」という
凶悪な事件がモチーフになっている事件です。

「池田小事件」とは、2001年に大阪府の小学校の児童が被害にあった
無差別殺傷事件です。
当時は衝撃的なニュースとしてメディアで多く取り上げられ、今でも記憶あります。

 

その犯人をモデルとして制作された映画ですが
凶悪事件の実話映画によくある

マスコミには出ない衝撃の真実や、目を覆うような残虐シーンはさほどなく

(殺害犯行シーンはあります)

事件を起こした家族にフォーカスがあてられ

事件が起きた背景をリアルに観せてくれる、どちらかといえば静かな作品です。

 

あらすじ キャスト

  • 葛城清(三浦友和一家の主人
    近所で流行らない金物屋(2代目)をやっている父親
  • 葛城伸子(南果歩)清の妻
    精神を病んで食事が作れない母親
  • 葛城保(新井浩文長男
    父親のお気に入りで気の弱い息子
  • 葛城稔(若葉竜也次男
    引きこもり、内弁慶、甘ったれの出来の悪い息子
  • 星野順子(田中麗奈稔の妻
    稔の獄中結婚の相手

高圧的で俺様的な父親に耐えて生活をしている一家。

家族の中で唯一まともに見える長男の死をきっかけに、

妻の精神的な病が進行し、次男は通り魔、獄中結婚と

追い詰められ崩れていく家族。。。

 

映画の背景・説明

映画の監督(赤堀雅秋)のもと2013年に舞台版が上演されています。

舞台では「池田事件」を主に題材として作られましたが、

映画では、実際に日本で起きたいくつかの事件を複合化された構成になっています。

映画の中でモチーフになっている実際の事件は下記です。

  • 和歌山カレー事件
  • 池田小事件
  • 黒子のバスケ」脅迫事件
  • 土浦無差別殺傷事件

 

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出典 映画「葛城事件」公式サイト

映画は清(三浦友和)が家の落書きを消すシーンから始まりますが、実際の和歌山事件の家の壁の落書きを再現されています。

また、家族構成や獄中結婚は池田小学校事件、次男が駅で起こす殺戮シーンは土浦無差別殺傷事件を再現され、それぞれの事件の雰囲気が細部に感じられる作品です。

感想  

映画を観た第一印象として、淡々と話が進んでいく映画です。

人生に目的、喜び、希望がない人たちのお話といった印象。

とにかく父親が嫌な奴で、三浦友和さんの父親役が素晴らしすぎるのか
(監督曰く、この役は唯一無のキャンスティング、はまり役とのこと)

父親(清)に対する不快感は終始続きます。

こんな父親が家にいたら家族は絶対楽しくないですがが、、、

身近に似たような父親は多く存在してそうです。
実のところ、私の義理の父親が似たような振る舞いをしていたなと、

映画を観ながら記憶が蘇りました。

この映画を観て同じように共感した人は、多いのではないでしょうか・・・

昭和の父さんあるあるエピソードなのかも。

結構、紙一重な家族って多そうです。

 

印象的な食事シーンのこだわり

母親、葛城伸子(南果歩)は精神的に病んでいて、料理をしないのか

家族の食事シーンはいつもレトルト。

コンビニ弁当、カップラーメンをモリモリと食べているシーン多く

何故かこれが不気味に感じます。

立派な一軒家に住んでも中身が成り立っていない家族の象徴なのでしょうか

そして、事件を起こした次男はいつも喉が渇いていて、冷蔵庫から

飲み物を取っているシーンも印象的です。(ジュースって中毒になるんですよね)

 

(ネタバレ)

これは少しネタバレですが、


次男は、死刑の前に炭酸ジュースが飲みたいと言った。
というエピソードがあります。


ここは正確には分かりませんが、

元ネタから引っ張ってきたエピソードではないかと思いました。

死ぬ前に食べたい物の希望が、炭酸ジュースって
ちょっと、悲しいですよね。

 

残酷シーンが苦手なあなたへ

 池田小事件で起きた、小学生が殺害されるシーンが出たらそこは飛ばそうと
観ていましたが、映画では駅での通り魔殺人でした。


駅で主人公が刃物を持って振り回しグサグサと人を刺していくのですが、
逃げずにその場で立ち尽くして刺されてしまう人や、

少し離れた位置から、ことの成り行きを遠巻きに見ている人が多く、


なんで、もっと遠くに逃げないの?

と感じましたが、以外に

突然通り魔が現れたら人は逃げずに見届ける。という行為をしそうだと
その辺りもリアルに感じました。

最後に

子供を持つ同じ母として共感できるのですが

頑張れなくなると、食事など作る余裕もなく、

お母さんが心を病んでしまうと、家族の食事に喜びがなくなるのは納得です。
食事を楽しむって本当に大切なことなんだなと。

仕事が忙しくて、たとえ手抜きの献立になったとしても
家族への愛情を込めて食事を作りたいと思わせてくれた映画でした。
(もっと、他に感想あるでしょ。。)